メンバーのつぶやき

片倉指揮者のつぶやき(2019.04.28)
 

<第21回定期演奏会> 「楽曲解説」
⑦『童謡“月の沙漠”の主題によるボレロ風小幻想曲』    赤城淳作曲
もともとの童謡“月の沙漠”は、大正から昭和初期に叙情的な挿絵画家として人気を博した加藤まさをが、講談社発行の雑誌『少女倶楽部1923大正12年)3月号に発表した、詩と挿画からなる作品です。これに、当時まだ若手の作曲家であった佐々木すぐるが曲を付けたことで、童謡としての「月の沙漠」が生まれました。画家らしい絵画的で美しい表現、また小女誌に発表されただけにロマンティズム溢れる詩の内容は、100年経った令和の現在でも愛され続けています。

 さて、今回私たちが演奏するプレクトラム・アンサンブル曲を、敢えて赤城淳作曲とし、編曲と銘打たなかったことには少々理由があります。

作曲の赤城先生は2007年に亡くなられていますから、本年13回忌を迎えることになりますので、時効ということで一つ昔話を申し上げます。
 私が学生時代ですから50数年前になりますが、何かの用事で当時下落合にあった先生のお宅に伺った際、「お前だから話すが…」と断りを入れた上で、一巻の録音テープを聴かせてくれたのです。あるプロのバンドによるその曲こそ「ボレロ月の沙漠」の原曲だったのです。プロの作・編曲家としてはたとえ一部でも借用することは、中々他人には言えなかったのかも知れません。

しかし調性を弦楽器(特にギター)に合ったホ短調にしたこと、マンドリンのピッキングとトレモロを織り交ぜて楽器の特性を生かしたこと、ボレロの冒頭にフルートの二重奏を持ってきたこと等々、先生ならではアイデアが満載されています。
 使用する楽譜は、表題のタイトルとして発表されてから、10数年後の1981年に改編されたオーケストラ版で、通常のマンドリンアンサンブルに管4パート、打楽器3パートを加えた渾身の1作となっています。今回、プロの方の賛助も得ながら ほぼ作曲者の意向に沿った形で演奏できることは本当に嬉しいことと思います。


⑧花              武島羽衣作詩 滝連太郎作曲 赤城淳編曲

」(はな)は、瀧廉太郎によって作曲された日本を代表する楽曲で、もともとは1900(明治33年)111日付で共益商社出版から刊行された歌曲集(組歌)『四季』の第1曲でした。
 滝廉太郎は東京音楽学校卒業後、ドイツに渡り、メンデルスゾーンが設立した、ライプツィッヒ音楽院に入学、対位法などを学びました。しかし渡独後わずか5カ月で肺結核となり、無念のうちに帰国、療養しましたが、23才の若さでこの世を去っています。作曲を志して本当に短い時間に、数々の名曲を残した才能は惜しまれてなりません。
作詞の武島羽衣は国文学者・詩人であるとともに、東京音楽学校(現東京芸大)のほか、日本女子大、聖心女子大、実践女子大でも教鞭を執り、日本の女子教育に多大な貢献をしました。
 日本人の誰もが愛唱するこの歌は、19624月放送のNHKテレビ・ラジオ「みんなのうた」でも、当時20歳そこそこのザ・ピーナッツによって歌われました。原曲はイ長調、女声の2部合唱、2重唱で書かれていますが、今回は12番をト長調で、二度転調したのち3番をイ長調で歌い上げます。


⑨花の街           江間章子作詩 團伊玖磨作曲 武藤理恵編曲

昭和22(1947)に発表された爽やかな日本の歌曲です。

第二次世界大戦後の打ちひしがれた日本で、この曲はラジオ番組により日本全国に広がり、終戦後の明るさや平和の象徴として人々に知られ、歌い継がれてきました。

1949NHKラジオの朗読番組『私の本棚』(朗読者は樫村治子)では、番組のはじめに演奏されるテーマ曲として使われました。発表されて70年以上経った現在も、日本の音楽の教科書によく載っており、授業や合唱コンクールなどで歌われ、2006(平成18年)には「日本の歌百選」に選定されました。

作曲の團伊玖磨は黛敏郎、芥川也寸志と並んで日本の三大作曲家としてその名声を恣にしてきました。作品は代表作の歌劇「夕鶴」のほか多数の管弦楽曲、合唱曲、映画音楽などを残していますが、子供たちのために「象さん」、「やぎさんゆうびん」、「こもりうた」など心温まる佳曲も書いてます。

作詞の江間章子は昭和を代表する詩人で、この曲のほか、「夏の思い出」、「花のまわりで」、「おかあさん」などの名曲を残していますが、彼女の作詞した「おかあさん」は、今回会場の皆さまに歌っていただくものとは作曲は同じ中田喜直ですが、作詞が違っています。



片倉指揮者のつぶやき(2019.04.22)

<第21回定期演奏会> 「楽曲解説」

⑤『オンブラ・マイ・フ(ラルゴ)』  ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル作曲

ヴィヴァの皆さんは「オンブラ・マイ・フ」と聴けば30年ほど昔、テレビのコマーシャルで、アメリカのソプラノ歌手、キャスリーン・バトルが歌い、大人気を博したことを懐かしく想い出される方も多いのではないでしょうか?
この曲の人気でスポンサーのニッカウィスキーでは、主力商品であるスーパーニッカの売り上げを20%伸ばしたほか、人気に便乗してキングレコードより発売されたCDアルバムは、3ヶ月間で20数万枚の売り上げを記録しました。
通常、1万枚を超せばヒットと言われる、クラシックCDの世界ではこれは異常ともいえる出来事でした。
また、この人気のお蔭で、バトルは翌年の19871月、カラヤンの指揮する「ウィーンフィル ニューイヤーコンサート」にも招待されるほどでした。

 この曲は、ヘンデルの作曲による歌劇「セルセ(イタリア名:クセルクセス)の第1幕の冒頭で、ペルシャ王セルセが、離宮を逍遥しながら緑陰を愛でつつ歌うものです。詩はイタリア語で、その内容は「愛しい木陰よ、おまえほどうるわしい木陰がまたとあったろうか」と歌われます。原曲はヘ長調ですが、私たちは中川信良氏の編曲によるト長調で演奏します。下降と上昇を組み合わせた伸びやかな旋律線を持つこの曲は、ヘンデルを代表する将に名曲と言えるでしょう。

⑥『セビリヤの理髪師』序曲       ジョッキアーノ・ロッシ―ニ作曲

ヴィヴァは嘗て「第3回千葉県マンドリンフェスティバル」において、この序曲を演奏したことがあります。但し、この時の楽譜は宮田俊一郎先生によるものでしたが、スコアに管パートが無く、私が適当にフルート、クラリネットを加筆したものを使用しましたので、結果的に楽譜、演奏は納得出来るものではありませんでした。
今回、初めて定期演奏会にのせるにあたり、赤城淳先生編曲のものを取り寄せ、双方の良い部分を摂りながら、管弦楽のスコアから打楽器を加え、最後はピアノで和音をチェックしたものを採用しております。

 さて、作曲者のロッシーニは生涯に40曲を超えるオペラ作品を残していますが、「セビリヤの理髪師」は現在演奏される数少ないオペラとして、高い人気を誇っています。彼は37歳で歌劇作曲の筆を折っていて、この作品は24歳の脂の乗り切っていた時の作品ですが、風刺のきいたボーマルシェの原作、ステルビーニの台本も素晴らしく、作曲の依頼を受けたロッシー二は僅か13日間で書き上げたと言われています。物語の運びや美しいアリアの数々は、短い期間で作られたとはとても思えませんが、最初のうちは反ロッシーニ派の妨害もあって混乱をみせたものの、次第にその素晴らしさが評価され、1816年の初演から21世紀の今日に至るまでしばしば上演されています。
但し今回私たちが演奏する序曲は、もともと「セビリヤ」のために書かれたものでは無く、前年に発表された別の作品からの流用だったのです。
しかし、この転用序曲が将にロッシーニ風のビビッドで美しいメロディー、色彩感ある巧みなオーケストレーションで「セビリヤの理髪師」の大きな魅力の一部となっています。
物語のあらすじは…、「若いアルマビーバ伯爵は美しい娘、ロジーナに心惹かれますが、彼女の財産を目当てに後妻にしようと企んでいる、後見人である医者バルトロの眼が光っているので中々手が出せない。そこで伯爵は一計を案じ、世話好きな理髪師フィガロにとりもちを頼みます。ロジーナも内心伯爵を好んでいるので、フィガロの大活躍で最後に二人は結ばれます。
フィナーレで大団円を迎える、将にイタリア・オペラブッファ(喜劇的オペラ)を代表する名作ですが、皆さん良くご存じのように、この物語の後日談がモーツァルトの傑作「フィガロの結婚」ですね。フィガロ」の原作も同じボーマルシェ(台本はダ・ポンテ)、登場人物、物語の舞台も同じスペイン南部のセビリヤです。「セビリヤ」で伯爵とロジーナの仲をとりもったことを評価されて、伯爵の従僕となったフィガロは伯爵夫人(ロジーナ)の小間使いの可愛い娘、スザンナと相思相愛で結婚の準備に追われています。ところが、伯爵は大冒険して手に入れたはずのロジーナ(夫人)に少し飽きがきており、有ろうことかフィガロの婚約者、スザンナに色目を使い始めます。
それを知った夫人、フィガロ、スザンナの三人は伯爵を懲らしめる作戦を考えます。
最後はこの作戦が大成功、ドタバタ劇のうちにハッピーエンドとなります。
ここで少しややこしいのは、「フィガロ」の初演が1786年、「セビリヤ」が1816年で、後日談の方が30年も前に上演されたことでしょうか。いずれにしても物語も序曲も良く似た2作品と言えるでしょう



片倉指揮者のつぶやき(2019.04.05)

<第21回定期演奏会> 「楽曲解説」
③『トロイの娘たちの踊り』 シャルル・フランソワ・グノー作曲
 シャルル・グノーと言えばヴィヴァではこれまで、クリスマスコンサートの定番として、バッハ~グノーによる「アヴェ・マリア」を演奏して来ました。
 彼は大バッハより120年ほど後に活躍していますが、残した作品はその華麗なメロディーと巧みなオーケストレーションによって、現在でも高い人気を誇っています。
 グノーの作品は多岐に亘っていますが、特にミサ曲、レクイエム(鎮魂曲)5曲のオラトリオ(宗教音楽劇)と、宗教音楽に大きな足跡を残しています。
 
今回定演第
2部で演奏される「トロイの娘たちの踊り」は、グノーが残した13曲の歌劇の中で最も人気のある作品「ファウスト」の中で、5幕の中で演奏される7曲のバレエ音楽の5番目の曲にあたります。

 さて、この歌劇のテキストは世界の文豪、ヴォルフガング・フォン・ゲーテの劇詩「ファウスト」に依っています。ルネッサンス期に生きたとされ、医師、魔術師として各地を遍歴した「ファウスト博士」がモデルになっていますが、この人物をテーマにした文学作品はゲーテのほかにも多く存在しています。

 また、ゲーテのこの畢生の大作を下地にした音楽的作品も多くあって、ヘクトル・ベルリオーズの劇的物語「ファウストの劫罰」、フランツ・リストの交響曲「ファウスト」、フランツ・シューベルトの歌曲「糸を紡ぐグレートヒェン」が特に有名です。 

グノーの「ファウスト」はゲーテの劇詩中の第1部のみを描いていますが、私たちが演奏する「トロイの娘たちの踊り」は劇詩の第2部中の、トロイ戦争の原因となったとされる、スパルタの王女で絶世の美女・ヘレーナと彼女を取り巻く娘たちがファウストを誘惑する場面で踊られるものです。

ヴィヴァではこの曲を20005月の第4回定演で採り上げています。
創立以来のメンバーの皆さんには懐かしいものと思われますが、<フランス近代歌曲の父>とも仰がれるグノーのこの佳曲を全員で楽しみたいものです。                          

③『精霊の踊り』 クリストフ・ヴィルバルド・グルック作曲
リシャ神話の中でも永遠の夫婦愛を謳った点で、歌劇「オルフェとエウリディ―チェ」は多くの人に愛されて来ました。

クラシック音楽の世界でもこの物語は多くの作曲家にとりあげられました。
その中で特に有名なのは、モンテヴェルディの歌劇「オルフェオ」、リストの交響詩「オルフェウス」、オッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄(原題:地獄のオルフェウス)、そして今回私たちが演奏する「精霊の踊り」の入った、グルックの歌劇「オルフェとエウリディーチェ」となります。

この物語のあらすじは…、互いに愛し合っていたオルフェとエウリディーチェですが、ある時妻は毒蛇に噛まれてあえなく死んでしまいます。悲嘆にくれるオルフェ。墓を建て、若い男女の羊飼いやニンフ、従者たちと焼香するところからこのオペラは始まります。どうしても愛しい妻を諦められきれないオルフェは、黄泉の国に行って妻を連れ戻すことを神々に頼んで許されます。但し神はその代わり、二つの条件をオルフェに課すのです。一つは彼の歌によって地獄の番人を宥めること、二つ目はどんなことがあっても振り返って妻の顔を見ないことです。そして二人はうまく地上に出て来ようとします。しかし、初めは喜んでいたエウリディーチェですが、夫が中々自分の顔を見ないことで、愛が覚めたのでは無いかと訝しみ、夫に付いて行くことを止めてしまいます。
たオルフェは堪らず妻の顔をみてしまいます。その瞬間妻は息絶えてしまうのです。オルフェは嘆き悲しんで、自ら剣を持って死のうと決意しますが、そこへ愛の神が現れ、「お前の愛の誠は充分に示された」と告げ、エウリディーチェは再び息を吹き返し、二人は喜んで抱擁します。

「精霊の踊り」はこのオペラの第2幕第2場で、天国の野原で精霊たちが踊る場面で演奏される曲で、その美しい旋律は、フリッツ・クライスラーが「メロディー」のタイトルでバイオリンソロに編曲したほか、マルセル・モイーズ(フルート)、ウィルヘルム・ケンプ(ピアノ)とそれぞれの楽器でソロ演奏も多く試みられています。
曲全体は三部形式(FdurDmollFdur)で書かれており、特に中間部はフルートのソロ、16分音符の多い伴奏が難しく、ヴィヴァでは中々実現できませんでした。
今回、ソロの井家さん、伴奏(特にギターパート)の皆さんの奮闘により、定演で演奏できる幸せをかみしめています。



片倉指揮者のつぶやき(2019.03.18)

<第
21回定期演奏会> 「楽曲解説」

②『海の組曲』 アメディオ・アマディ作曲

 ヴィヴァ・マンドリーノではこれまでアマディの曲を多く採り上げてまいりました。 ある時期では第1部のオープニングの曲として5年連続して氏の小品を演奏したことがあります。
また、組曲としては「海の組曲」(6回 2003.67)、「降誕祭の夜」(16回 2014525)2度演奏していますが、前回の「海の組曲」は中嶋俊一氏の指揮でしたので、小生自身がこの名曲を一度は振ってみたく思い選曲いたしました。

アマディは1866年イタリア中部のロレートで生まれ、1935年にトリノで没しましたが、およそ70年の生涯で500曲の作品を残しています。 中でも今回演奏する「海の組曲」は、1907年のイル・プレットロ誌主催の第2回作曲コンクールで見事第1位に輝いた屈指の名曲として、多くのアンサンブルが演奏して来ました。
ギリシャ神話に登場する神々それぞれのキャラクターを、4つの楽曲に配したこの曲はアマディ独特の美しく、洗練されたメロディーと巧みなオーケストレーションによってマンドリン界に君臨して来ました。
構成する4つの曲は、独立した曲としても素晴らしいものですが、セレナーデ、舞曲、フーガ等、変化に富んだ素晴らしい組曲となっています。

1曲「ナイアーデのセレナータ」
夕凪を思わせるゆるやかな海のうねりを、マンドラが奏し、その上にマンドリンのピッキングを重用した、美しいメロデイーが流れます。このメロデイーは一旦テンポが上がり、ナポリ風のうねりを感じさせるものに移りますが、再び元の主題に戻って転調し、海は次第に大きなうねりをみせていきます。それが徐々に遠のいて、海は静かな元の静かな佇まいを見せ、ギターが先導する和音の変化(イ長調→ハ長調→変ホ長調→変ト長調)にのって、ラストは低音の主音のはるか上で1M,2M、ドラによって、海の精、ナイアーデたちの美しいハミングコーラスとなって夜の闇の中に消えて行きます。

2曲「オンディーヌの踊り」
ホ短調38拍子。前曲の静かな夜の闇と対照的に強烈な全パートユニゾンによる属七の導入部ののち、5小節目から軽快なマズルカの舞曲が始まります。マズルカは元々ポーランドの舞曲で、ショパンのピアノ曲でも良く知られていますが、23拍目にアクセントのあるのが特徴です。曲は3部形式で構成されていて、中間部は同主調のホ長調に転調していますが、この部分のメロディーラインは寧ろワルツ的といって良いでしょう。このメロディーが転調を繰り返し、高潮して一旦クライマックスを迎えます。後半は冒頭の舞曲に戻り、ラストはセロ、ギターによる上行のアルペジオののち、ギターがフルコードを奏して静かに終ります。

3曲「シレーネの歌」
<スプレーン>をはじめ数々の名旋律を世に残した、アマディの作品の中でも、静謐さとロマンティシズムに満ちた屈指の名曲といえるでしょう。曲は前曲を受けてホ短調128拍子で静かに始まります。やがて曲はト長調に転調し美しいメロディーがマンドラによって奏されます。この時1Mと2Mによってなされる煌めく波頭を想わせる伴奏が印象的です。このメロディーは転調し、次第に高潮してギターの8分音符の力強いきざみをバックに、マンドリンのメロディーが加わり最高の盛り上がりを見せます。後半は冒頭のメロディーがト短調で現れ、ラスト4小節はト長調に移って海は元の静けさに戻ります。

第4曲「トリトーネのフーガ」
この組曲中、唯一の男神がテーマになっています。トリトーントとは天()、大地に続く第3のものという意味で、海を表します。海の神ポセイドンの息子で三叉の矛を持っていますが、通常は半人半漁の姿でほら貝を携えています。
 曲は第1曲と同主調のイ短調で始まりますが、テンポは対照的にAllegro Vivaceで弾き出されます。途中高音部と低音部の掛け合いの後、両声部が下行と上行とに分かれてクロマティック音階が対位法的に激しいせめぎあいを見せます。中間部はタイトルにある<フーガ>が1M,2M,マンドラによって展開され、次第に盛り上がりを見せた後、冒頭のリズムに戻り、イ長調に転調して、ラストはトリトーネのほら貝が高々に鳴り響いて華やかに幕を閉じます。組曲全体のフィナーレともいえるこの曲は作曲技法においても最高の傑作と言えるでしょう。                      

 
片倉指揮者のつぶやき(2019.01.31)

ヴィヴァの皆さま、第21回定演まで凡そ4ヶ月となりました。今年もお蔭さまで1月5日に良いスタートが切れましたので、比較的余裕をもって練習に臨めています。

さて、鈴木清さんにお願いして、ホームページ上の<つぶやき欄>にこれまで4回に亘り「映画と音楽」を載せて貰いましたが、これから定演までは先のテーマは一時お休みして、定演の演奏曲に付いて書いてみたいと思います。
楽員の皆さんもこれを読んで、演奏上のイメージ作りに役立てて戴けたらと思います。
また、文章上の誤り、文字の間違いなどがありましたら遠慮なくお申し越しください。実は昨年もイタリア(シシリー)の地名、パレルモがパルレモと誤誤されていたことを大山さんが指摘され、助かったことがありました。二つの眼より数十の眼で見た方がより正しいと思いますので、こちらの方も宜しくお願い致します。


<第21回定期演奏会> 「楽曲解説」

①『月ありき』 ウムベルト・デ・マルティノ作曲

 練習時にも話しましたが今年の定演は第1部がこの「月ありき」で始まり、第3部はオープニングが「月の沙漠」、フィナーレが「荒城の月」と、<月>に因む曲が多く演奏されます。
 
「月ありき」は副題に<セレナータ>とあり、これは夕べ、恋人の窓辺で歌う恋歌または夜曲といった意味で使われますが、日本で夕刻というと薄暮の頃も含まれますので、私は寧ろもう少し遅い時間の夜曲の意味で説明したいと思います。何故なら夜の闇があるからこそ、月の光が冴えわたるからです。
 
また、タイトルには<月>しか出ていませんが、私はもう一方に<海>の存在があると思っています。
 この曲はイタリアの代表的なリズムである<バルカローレ=Barcarole 6/8拍子>で書かれています。ギターのリズムは6拍のうち、前半の1-~3拍と後半の4~6拍とで音型が変っています。私はこの変化は1~3拍で櫓が返るのを表現していると思っています。
 
また、全体は3部形式で構成されていて、1、3部がイ短調、中間部がイ長調で書かれていますが、この部分のギターのアルペジオは1、3部とは逆の形になっています。そしてこの曲の白眉が40小節の2Mから始まり56小節まで続くメロディーです。
将に月の光が皓々と海を照らす、この曲で最も盛り上がる部分です。このメロディーがメインのアリアとすると、中間部の29~39小節はアリアのためのプロローグ、56~64小節はエピローグと考えても良いかも知れません。
曲全体は静かに始まり、中間部で最高の盛り上がりを見せた後、後半は冒頭の調べがPで奏されますが、88小節のPerdendosi(次第に遅く、弱く、消えるように)からの3小節はイ長調に変わり、余韻を残しながら終わります。
 イタリアオリジナル曲の中でも最も美しいセレナータと言って良いでしょう。
 
なお、作曲者、マルティノに関しては出自、経歴など詳しいことは分かっていません。但し、この曲が1908年のイル・プ レットロ誌主催の第1回作曲コンクールで銅賞を獲得したこと、作者の友人、カルロ・フェルラーロに贈られたことは分かっています。

また、題名の「C’era la Luna」ですが、直訳しますとeraはessere(存在する)
の半過去形(laは女性名詞への定冠詞、Lunaは月)ということで、「月ありき」という訳は絶妙ですね。理屈っぽく言うと「ありき」の「き」は、過去、完了を表す文語の助動詞で、「ある」という動詞の連用形で用いられた、一種の現在完了形と見て良いと思います。
こういう時に古語が使えるのが日本語の強みです。これに似た用法で1941年製作の米映画「我が谷は緑なりき(ジョン・フォード監督)」が想起されます。
 
但し、船橋さんが嘗て聴かれた「月あかり」や以前私が聴いた「月は輝く」といった題名も決しておかしなものでは無いと思います。

 

片倉指揮者のつぶやき (2019.01.20)

<映画と音楽④> 「フランス編Ⅱ」

①『死刑台のエレベーター』(1957年仏)

 前回、名匠ルネ・クレマン監督の二作品を採りあげましたが、これらの作品に関わるスタッフ、キャストのその後を少し追ってみたいと思います。

「太陽がいっぱい」に主演した3人の男女優のうち、マリー・ラフォレ(注1)はこの映画がデビュー作品でしたし、アラン・ドロンも二、三年の経験はあるもののまだ新人俳優の域を出ないものでした。他方もう一人の主役、フィリップ役のモーリス・ロネは、これに先立つこと3年の1957年に名作「死刑台のエレベーター」に主演し、一躍スターの座を獲得していました。また、この作品が新進気鋭のルイ・マル監督25歳の時のデビュー作であり、相手役がフランスを代表する、大女優のジャンヌ・モローだったこともあり、モーリス・ロネの名は仏、欧に留まらず、世界中に知られることとなりました。

映画のストーリーですが、宅地開発会社の有能な技士、ジュリアン(モーリス・ロネ)は、社長の若き妻、フロランス(ジャンヌ・モロー)と不倫関係にあり、時間が経つにつれ社長が邪魔になって来て、遂に完全犯罪での社長殺害を決意します。錨つきのロープで壁をよじ登り、社長の部屋に侵入したジュリアンは自殺に見せかけて、まんまと社長殺害に成功します。しかし外へ出たところで、
手すりにロープをかけたまま来てしまったことに気が付きます。ビルに戻り、エレベーターで上階へと急ぎますが、日曜日で無人のビルであることから管理人が電源を切ってしまうのです。エレベーターに閉じ込められたジュリアンは必死に脱出を試みますが、隙間が充分でなく断念します。約束の時間と場所に現れないジュリアンを、途方に暮れたフロランスはパリ市中を探し続けます。
 ストーリーはこの主役二人に、日ごろからジュリアンを憧れの眼で見ている、近くの花屋の売り子、ベロニックと恋人のチンピラ、ルイ(注2)、それにたまたま居合わせたドイツ人観光客夫婦が絡んでスリリングに展開していきますが、最後は強面のシェリエ刑事(リノ・バンチュラ)の手で逮捕されます。
 
都会を映すノワール(注3)なモノクロ映像が、情事に溺れた行き場のない男女の姿を見事に浮き彫りにしています。また、ここから始まるヌーヴェルヴァーグ(新しい波)の存在を世に知らしめた記念すべき作品とも言えるでしょう。

 さて、この映画でもう一つ特筆されるのが、モダンジャズの帝王、マイルス・デイビスによる10曲に及ぶオリジナルのトランペットの響きでしょう。欲望の果てに運命を狂わせていく主人公の虚無感、アンニュイといったものをマイルスのサウンドが見事に引き出しています。このジャズ起用の成功が、その後の
「殺られる=アート・ブレイキーとジャズメッセンジャーズ」、「危険な関係=セロニアス・モンク」など多くのヌーヴェル・ヴァ―グ作品に影響を与えたことは申すまでもありません。

(注1)
マリー・ラフォレは「太陽がいっぱい」の翌1961年、「金色の眼の女」に主演しています。フランスの文豪、バルザックの原作、ジャン=ガブリエル・アルビコッコがメガホンを執っていますが、その後ラフォレはこの監督と結婚し、一児をもうけています(10年後離婚)。注目したいのはこの映画の音楽をナルシソ・イエペスが担当していることです。私の高校時代には好楽社から主題曲のギターピースが売られていましたが今はどうでしょうか?但し、YOU-TUBEではイエペスの演奏が聴けますので、是非聴いてみて下さい。中々の佳曲です。

(注2)
花屋の売り子、ベロニックの恋人でチンピラのルイを演ずるのは「禁じられた遊び」でミッシェル少年を好演した、ジョルジュ・ジュ-ブリ―その人の5年後の姿です。

(注3)
 ノワール(仏語noir)とはフランス語で黒い、暗いといった意味です。従ってフィルム・ノワールは「暗い映画」で、全体的に虚無的、悲観的、退廃的な指向性を持つ犯罪映画の総称と言え、狭義には1940年代から1950年代後半にかけてアメリカ・ハリウッドで製作された犯罪映画を指します。そして多くのハリウッド製フィルム・ノワールには「ファム・ファタール(危険な女、運命の女の意)」という存在の悪女が登場します。例えば「郵便配達は二度ベルを鳴らす」
の多情な悪妻、コーラのような女と言えば良いかも知れません。

 一方フレンチ・フィルム・ノワールには悪女はあまり出て来ません。寧ろギャングと刑事との対立、ギャング同士の抗争の中で、男同士の友情が語られていく、よりハードボイルドタッチの作品が多いようです。

 

片倉指揮者のつぶやき(12/23)

<映画と音楽③> 「フランス編」

①『禁じられた遊び』(1952年仏)
先日、またまた鈴木清さんからご案内を受けて、「題名のない音楽会」の<映画音楽特集>を見ました。ゲストに村治佳織とありましたので、「ハハア、キッとあの音楽が出てくるな」と思っていたら、案の定1曲目に村治のソロを交えた「禁じられた遊び」中の<愛のロマンス>が流れました。

名匠ルネ・クレマンによるこの映画のストーリーですが、1940年ナチス・ドイツ空軍機の機銃掃射で両親と愛犬を失った5才のポーレットは、放心して彷徨ううち牛追いの少年、ミッシェルと出会います。ミッシェルの家は貧しい農家でしたが、事情を聴いて暖かく迎え入れ、ミッシェルもポーレットに親近感を持ち一緒に愛犬の墓を建ててあげます。
結局、ポーレットは家に留まって欲しいミッシェルの願いも空しく、戦災孤児として施設に引き取られることになりますが、孤児院へ向かう途中、マドリード駅の雑踏の中、係の修道女が少しの間ポーレットから離れた時、群衆の中から「ミッシェル!」と呼ぶ声が聴こえます。このミッシェルは別な人だったのですが、そちらへ向かって母親とミッシェルの名を泣き叫びながら、人ごみの中に消えていくポーレット…、バックに流れるイエペスの<愛のロマンス>。
余りに悲しいラストシーンに言葉がありません。同時に戦争への激しい憤りが胸を衝きます。将に反戦映画の金字塔と言っても良いと思います。

<愛のロマンス>はスペイン民謡というより、元々はギターの練習曲として作曲されたようで、作曲者もアントニオ・ルビーラやヴィセンテ・ゴメスなど諸説あるようです。ただ、ルネ・クレマン監督は音楽担当スタッフを決める時には制作予算を使い果たしており、費用でセゴビアと折り合いがつかず、当時余り有名では無かった24歳のイエペスに依頼したようです。
結果的にこれが大成功、イエペスの名は一躍世界中に知れ渡りました。

イエペスは1960年を皮切りに17回訪日しています。私が学生時代でしたから何回目の訪日でしたか…神田の共立講堂でリサイタルがあると言うので出かけました。会場は満席でしたが、何の曲を演奏したかは全く記憶にありません。
全てのプログラムが終り、アンコールとなりましたが、2曲、3曲と進んでも誰一人席を立つ人がいません。そして6曲目が終わったとき、前の方にいた客が堪りかねたのでしょう、「ロマンツァ!!」と一声叫んだのです。
これに応えておもむろに<愛のロマンス>を弾き始めたイエペス。演奏後、聴衆の全てが納得し、満足して帰途に着いたことは言うまでもありません。
私も数多くのアンコールを聴いて来ましたが7曲というのは勿論最多ですね。(2位はアメリカのピアニスト、ヴァン・クライバーンの5曲)

②『太陽がいっぱい』(1960年仏=伊)
「禁じられた遊び」の8年後ルネ・クレマンが発表した娯楽サスペンスの傑作。
アメリカの女流作家、パトリシア・ハイスミスの原作を監督自身も脚色に加わり、一級の映画となりました。
映画の冒頭、タランテラの調べが流れる中、ローマの街角のカフェテリアで話し合う二人の青年。一人はアメリカの大富豪の放蕩息子フィリップ(モーリス・ロネ)、他方はその富豪から息子をアメリカへ連れ戻す役を託された貧しい若者トム・リプリー(アランドロン)ですが、この映画でもう一人重要な役割を演ずるのが、フィリップの愛人でフランス女のマルジュ(マリーラフォレ)です。

仕事もせずに遊び呆けているフィリップは、愛人との情事を見せつけ、何かにつけてトムを見下します。トムの心中のフィリップへの反感から憎悪、殺意へのエスカレートは当然の成り行きと言えるでしょう。貧乏青年の暗く、屈折した心境の変化をクレマンは実に丁寧に描き出していきます。マルジュがフィリップとの諍いからフランスに帰って、青年二人だけとなった洋上のクルーザーの中で、トムはフィリップを刺殺します。器用なトムはフィリップの声を盗み、サインも盗んで多額の預金を引き出すことに成功、金と愛人を自分のものにすることになりますが、結局フィリップ殺害を糊塗するために第二の殺人を呼び、警吏に追われることに…。それも何とかうまく逃れそうになりますが、最後にアッといわせるどんでん返しが待っています。

あくまでも明るい南イタリアの空と海、一方屈折した青年の野望と挫折。
この鮮やかなコントラストに監督の力量を見て取ることができます。

そして忘れてならないのが名作曲家、ニーノ・ロータによるメロディーで世界中で大ヒットとなったことでしょう。ニーノ・ロータと言えば映画「道=ジェルソミーナ」、「ロメオとジュリエット」、「ゴッドファザー=愛のテーマ」等を残した映画界きっての作曲家で、ヴィヴァでも何度か採り上げましたが、愁いを含んだ旋律と洋上を滑るような6/8のリズムを持った「太陽がいっぱい」のテーマは、最も人気のある名曲と言えるでしょう。

 

片倉指揮者のつぶやき(11/25)

<映画と音楽②> 「ヴィヴァとスクリーン・ミュージック」

ヴィヴァ・マンドリーノは来年創立30周年を迎えます。
実際に数名の女性が市内「上新木青年館」で、片桐三郎さんからトレモロの手ほどきを受けていたのはその前年だったと思いますが、私が指導を受け継ぎ、名前を「ヴィヴァ・マンドリーノ」と定めたのが1989年でしたので、この年を正式な創立年としたいと思います。
メンバーの皆さんが使用する、2種の譜面カバーの左肩に「VIVA MNDOLINO SINCE 1989」とあるのはその理由からです。

私たちが主たる練習会場としている湖北地区公民館にて、記念すべき第1回定期演奏会が開催されたのが1994年10月のことですから、それまでの5年間は「軽音楽演奏会」、「湖北ミニコンサート」などに出演しながら、専ら陣容の拡充、演奏技術の向上に努めて参りました。
演目もイタリア民謡、日本の歌曲、ラテンミュージックのほか、映画音楽も良く演奏しておりました。

さて、先般の楽譜のデータ化に伴い、ヴィヴァは何曲くらいの映画音楽譜を所有しているかを調べてみました。結果、まだヴィヴァの楽譜リストにはないものの、私が個人的に所持しているものを含めますと、約100曲に及ぶことが分かりました。ジャンル別に凡その数で大別しますと、<欧米のスクリーン・ミュージック50曲>、<ミュージカルのヒットナンバー25曲>、<ディズニー10曲>、<スタジオジブリ15曲>となります。
これだけの楽譜を所有しているクラブはそうは無いと思いますね。
、、
さて、前回の「映画と音楽①」で<シェルブールの雨傘>を採り上げましたが、早速鈴木清さんから<ひまわり>のテーマ音楽が好きだとのお答えを戴いたので、それについて少し触れたいと思います。
この映画は1970年に発表されたイタリア映画ですが、映画の内容、出演者の好演もさることながら、その哀切極まるテーマ曲は映画を離れて世界中に大ヒットしました。私も多くの映画音楽を演奏して来ましたが、この<ひまわり>と<エデンの東>が映画音楽史上の名曲の双璧だと思っています。
物語の内容は、<シェルブールの雨傘>とは反対に戦争によって新婚の夫を戦地に送り出し、その帰りをひたすら待ち続けたあげく、遠いロシアの地まで探し求めに行った結果、夫は現地で命を救ってくれた女性と既に結婚し、子供までもうけていた…、将に新妻の絶望的な愛を描いた作品です。

作曲者のヘンリー・マンシーニはクリーヴランド出身のイタリア系アメリカ人です。「ティファ二―で朝食を=ムーンリバー」、「シャレード」など、主にオードリー・ヘップバーン主演の映画音楽を手掛けていますが、変わったところでは、私たちも嘗て演奏した「ハタリ!(ジョン・ウェイン主演)」やTVドラマの「刑事コロンボ(ピーター・フォーク主演)」シリーズのテーマも手掛けています。
マンシーニにとって恵まれていてことは、父がフルート奏者で幼い頃から手ほどきを受け、その才能を発揮していたこと。それを著名なクラリネット奏者のベニ―・グッドマンに認められてニューヨークに進出したこと。そして何よりも、この地でクラシック音楽の名門 ジュリアード音楽院に入学、イタリア出身の教授、マリオ・カステルヌォーボ・テデスコに師事できたことでしょう。テデスコと言えば、ギター奏者の方なら名前はご存知と思います。彼のギター協奏曲は、ヴィヴァルディのものやロドリーゴの「アランフェス」、「ある貴紳のための幻想曲」と並び有名で、しばしば演奏会に採り上げられます。

テデスコはフィレンツェにおいて、ユダヤ系銀行家の息子として、1895年に生まれていますが、当時ヨーロッパ中に吹き荒れていたユダヤ人排斥の風潮を、ムッソリーニの弾圧を嫌い既にアメリカに渡っていた大指揮者、アル―トゥール・トスカ二―ニに手紙で窮状を訴え、彼を頼って渡米しました。トスカ二―ニはイタリア北部のパルマ出身ですから、イタリア系音楽家の繋がりと、当時の社会状況が良く分かる事実と言えると思います。  

片倉指揮者のつぶやき(10/31)

<映画と音楽①> 「シェルブールの雨傘」

先般、新井さんを中心とした団員の方々のご尽力で、他のクラブに先がけて、楽譜資料がデータ化され本当に便利になりました。

9月末に現在大船渡で頑張っている岡田真一さんより、第16回定演3部で演奏した「少年時代」の楽譜拝借のリクエストがあり、直ぐ対応出来たのもデータ化のお蔭で、岡田さんも大層喜んでおりました。
ここで、これまで膨大な紙ベースの楽譜を管理してくださった各代の楽譜係の方々にも心から感謝申し上げたいと思います。本当にご苦労さまでした。

さて、軽音楽演奏会に先立ち、鈴木清さんから「シェルブールの雨傘」のNHKBSでの放映が案内されましたので早速ヴィデオに録り、後でゆっくり観てみましたが、以前映画館で見たのは40年以上前でしたので、新たな発見と感慨がありました。
主演のカトリーヌ・ドゥヌーヴはこの時芳紀正にに20歳(役上の傘屋の娘、ジュヌヴィエーヴは17歳の設定)、光り輝いていましたね。ドゥヌーヴは1943年生まれですから現在75歳になっており、2015年を最後に第一線から遠ざかってはいるもののいまだ元気のようですね。

「シェルブールの雨傘」の物語は戦争に引き裂かれた恋人同士の甘く、切ないストーリーをミッシェル・ルグランの華麗な音楽に乗せて展開するフランス版ミュージカルです。
実際にドゥヌーヴの部分を歌ったのは、その後「ふたりの天使」で世界中にヒットを飛ばした(一説に1500万枚)ダニエル・リカーリですが、この歌手は「シェルブールの雨傘」でスターの道が開けたといっても良いでしょう。

ジュヌヴィエーヴと恋人のギーは、将来市井にあって、ささやかな幸せを夢見る恋人同士。ある日ギーの元にアルジェリア戦役の召集令状が届いたあたりから物語は急展開していきます。生家の傘屋の商売も上手く行かず、ギーからの便りも途絶えがち、そんなところに現れた宝石商のローラン・カサールが困っている母娘に援助の手を差し伸べます。徐々にカサールの方に心が傾いていくジュヌヴィエーヴ…、結局、戦役を終えて帰って来たギーが傘屋を訪ねると他人の手に渡っていて行方知れず。絶望したギーは自暴自棄になりますが、最後は幼馴染みのマドレーヌと結婚し、二人で小さいガソリンスタンドを経営して幸せをつかみます。
ラスト、雪の中を偶然給油に訪れるジュヌヴィエーヴ、二言三言言葉を交わして別れる二人、代わりに使いから帰って来たマドレーヌと愛児を大喜びで迎えるギー…、ホッとする1シーンでした。

大体こういう時にワリを食うのは男のような気がしますが、年頃の娘にとって2年間の別離はキッと気の遠くなるような長さなのでしょうね。

これに似たのがマスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」で、主人公トリドゥが兵役にとられている間に許嫁のローラが馬車屋の主人アルフィオに嫁してしまう。現在の恋人、サントゥッツァはいるものの、どうしてもローラが諦めきれないトリドゥはアルフィオの目を盗んで逢瀬を重ねているうちにアルフィオの知れるところなり、最後は決闘を申し込んで殺されてしまう。
「シェルブール」に比べて余りにもドロドロとした愛憎劇ですが、これも面子を大事にするマフィアの故郷、シシリーの土地柄ゆえのことなのでしょう。
但し、男二人が決闘の話をする酒場のシーンに先立って演奏される間奏曲はその静謐さと美しさで物語をしめているのが特筆されます。

 尚、今回練習している「シェルブールの雨傘」はヴィヴァ第6回定演のために故中川信良先生が特別に編曲下さったことも申し添えます。

                               (片倉 武)


片倉指揮者のつぶやき(3/7)

「カルメン考」

第20回記念定期演奏に際し、クラシックステージに選ばれたのは「カルメン組曲」でした。
この組曲は今から16年前の2002年6月の第5回定演でほぼ同じ曲が演奏されています。

さて、歌劇「カルメン」は世界でも1、2を争う人気オペラとして君臨している感があります。

とりわけ我が国においては、嘗て浅草オペラや、戦後、藤原歌劇団、二期会でもしばしばとりあげられたこともあって、音楽ファンならずともその名と凡そのストーリーは知られているでしょう。

原作は19世紀に多方面で活躍した、プロスペル・メリメによるものですが、この作品を世界の人気オペラにしたのは、原作を巧みに脚色した、アンリ・メイヤック、リュドリク・アルヴィ二人による台本のお蔭と言って良いかも知れません。
それに加えてジョルジュ・ビゼーによる華麗なメロディーの数々は、オペラ本体でも、また組曲でも聴くものを飽きさせない傑作となっています。

さて、ここで原作者のメリメについて少し申し述べたいと思います。
メリメは1803年パリに生まれ、1870年に映画祭で有名なカンヌで没しました。裕福な家庭に生まれ、若くして法律学、その傍ら現代ギリシャ語、アラビア語、英語、ロシア語を学びました。こうしたことからメリメの短編、中編小説には外国を舞台にしたものが多く認められます。フランス文壇では少し先輩にあたるスタンダール(赤と黒、パルムの僧院等)の影響を受けていますが、メリメ自身の文学、神学、歴史学、考古学に関する造詣の深さは他の追随を許さないものがある…と言っても良いでしょう。

このオペラの主役であるカルメンは、野生美溢れるジプシーの女性として描かれていますが、ヨーロッパ中に分布しているジプシー(現在はロマと呼ぶのが一般的)に関するメリメの調査と考察には非常に興味をそそられます。

ビゼーがこの題材を自身のオペラに選んだ当時、この小説はそれほど有名ではありませんでしたので、「当時の著名な小説をオペラ化した」というのはどうやら誤りのようで、寧ろオペラの人気が出てきたことで小説も有名になって行った…というのが真相のようです。ビゼーの別なオペラ「真珠採り」がセイロン島(現スリランカ)を舞台にしているように、スペインのアンダルシア地方で実際に起こった事件を描いた「カルメン」はいつも情熱的で異色な題材を求めていたビゼーの好みにあったと言えるでしょう。

最後に、既に原作を読んだ方は知っておられますが、小説の中でヴィヴァ(特にマンドリン)の皆さんには大層興味深いシーンが描かれているのでご紹介します。

小説の冒頭、主人公の考古学者とドン・ホセが偶然森の中で出くわし、案内人ともども近くの安宿に泊まるのですが、この宿の壁に掛けてあるマンドリンをホセが執ってかき鳴らしながら歌うシーンです。私もホセがまさかマンドリンの巧者とはついぞ知りませんでした。

尤もホセが弾いたというマンドリンは現在私たちが弾いているものとは、大分違っているかも知れませんね。
弾き語ったとあるので、スペインで良く演奏されるバンドリン(フラット型、ガット弦)だった可能性が強いと思われます。

片倉指揮者のつぶやき(11/26)

「音の話」Ⅰ

A<音 の三要素>
まず、音の三要素の話をしたいと思います。
音の三要素とは、①音高 (pitch)、 ②音量(volume)、③音色→音型(figure) のことですね。
音は空気の微小な振動であり、音波という波形で表せますが、波長 が長いほど音は低く、波長が短くなるにつれ音は上がっていきます。マンドリンでは第2弦(A線)の開放弦が440サ イクル(ヴィヴァでは442)、要するに1秒 間に440回振動する音の高さを言いますね。但しこれには一つ注意が必要です。マンドラとギターの譜面は実際よりオク ターブ高く記譜されていますので、マンドラの第2弦Aのピッチはマンドリンよりオクターブ下で周波数が半分の220サイクル(ヴィヴァでは221) ということになります。セロの第一弦のAも220サイクルですが、こちらはヘ音記号で書かれていますので、実際に 出る音と記譜は合っています。そしてギターでのこの音は、第3弦(G線)の第2フ レットのAということになります。従って第5弦 (A線)の開放弦のAは 更にその半分の110.5サイクルということになります。三要素①のピッチは、この音の高低を巧みに組み合わせることによって、美しい メロディーが生み出されることを意味しています。尚、私はこれまでピッチの単位をサイクルとしていますが、最近ではヘルツ(Hertz)が使われるのが一般的のようです。このヘルツはドイツの物理学者、ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツから来ています。

続いて②の音量(ヴォリューム)です。音高(ピッチ)が波長の長 さで決まるのと違い、こちらは波の大きさで決まります。波の一番上から、谷の一番下までの差が大きいほど音は大きく、高低の幅が狭くなる ほど小さな音になっていきます。このヴォリュームの変化もディナーミクと言って、音楽を構成する上で必要不可欠なものです。一般的にはピ アニッシシモ(ppp)からフォルテッシシモ(fff) くらいのヴォリュームの差で演奏できれば豊かな表現が出来るでしょう。また、音量から派生した表現法として、クレッシェンド、ディクレッ シェンド(ディミニエンド)、スフォルツァンド、スービトピアノ等々種々ありますが、これらについては別の機会にお話ししたいと思いま す。

最後に③の音色(音型、フィギア)ですが、こちらは波の形のこと を言います。例えば音叉やチャイム、NHKの時報などは単純な波形をしていますが、これが各楽器音の波形となると様々です。マンドリンとギターは同じ撥 弦楽器なのでよく似ていますが、フルートと比べるとその違いは大きなものとなります。
但し、この波形の違いが多様な音色の組み合わせとなって、より魅 力的な音楽表現となります。因みにNHKの時報の「プ、プ、プ、プーン」は最初の三つが440Hz、 最後のプーンが880Hzとなっています。(続く)

 

つぶやき王子(中野さん)のつぶやき(6/20)


映画音楽は素晴らしい その2

いずれもYoutubeで検索できますので、興味のある方は聞いてみてください。

⑥ 流れゆくまま(It Goes Like It Goes)
映画「ノーマレイ」より。作曲デビット・シャイア。サリー・フィールド演じる主人公の女工員が組合動家に刺激され、組合結成に奮闘する姿を描いた作品。1979年のアカデミー主題歌賞の名曲です。いろんな歌手がカヴァーしていますが、ジェニファーウォーンズ版がお薦めです。

⑦ マンドリン協奏曲
ヴィヴァルディ作曲のマンドリン演奏のための曲が、映画「クレイマークレイマー」のために使われています。映画自体は、ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ主演の1979年のアカデミー作品賞を獲得した作品です。ヴィヴァルディの曲が映画の中で使われるケースは割と多く、ジョージロイヒルの「リトル・ロマンス」に協奏曲ニ長調が使われた例もあります。

⑧ ムーンリバー
 映画「ティファニーで朝食を」より。作曲ヘンリー・マンシーニ。カポーティの小説をオードリー・ヘップバーン主演で映画化したもの。映画のオープニングとエンディングで流れるストリングスとバックコーラスのヴァージョンもさることながら、劇中ヘップバーンが窓辺に腰かけてギターを弾きながら歌うシーンも素敵です。ジョージ・ペパードやパトリシア・ニールといった名優たちが脇を固めます。

⑨ ジェラシックパークメインテーマ
同名の映画より。映画音楽を語るうえで、作曲家ジョン・ウィリアムズを欠かすわけにはいきません。「スターウォーズ」「ET」「レイダーズマーチ」等の多くのSF映画に彼の曲が使われていますが、このジェラシックパークのテーマは、1つの管弦楽曲といえるほど完成度の高い構成を持った曲に思えます。映画は、恐竜を扱った普通の娯楽映画です。

⑩ ラスト・ワルツエンディング・テーマ
映画「ラスト・ワルツ」より。ロックグループ“The Band”の解散コンサートの模様を収録したドキュメンタリー映画です。この曲は、歌なしのインストルメンタルで、途中マンドリンの音色を使う部分が出てきます



つぶやき王子(中野さん)のつぶやき(6/15)

映画音楽は素晴らしい その1

有名な曲や余り知られていない曲も含め、私の好きな映画音楽を紹介していきます。
いずれもYoutubeで検索できますので、興味のある方は聞いてみてください。
映画そのものも必見のものばかりです。

① 風のささやき(Windmills of your mind)
映画「華麗なる賭け」より。作曲ミッシェル・ルグラン。映画のオープニングクレジットのバックに流れるノエルハリソンの哀愁のある歌声が渋すぎます。スティーブマックイーン扮する実業家とフェイダナウェイの演じる探偵とのギリギリの知恵くらべと愛が展開されていくおしゃれな犯罪映画です。後に、ピアーズ・ブロスナン主演でリメイク版が作られたのも記憶に新しいところ。私が映画音楽にはまるきっかけになった曲のひとつです。

② 愛と哀しみの果て(Out Of Africa)メインテーマ
同名の映画より。作曲ジョン・バリー。1985年のアカデミー賞7部門受賞のシドニー・ポラックの名作です。ロバートレッドフォードとメリルストリープの共演でも話題になりましたが、なんといってもアフリカの自然描写(特にラスト近くでセスナで上空から見る景観)が素晴らしいです。007シリーズで有名なジョン・バリーがこんな名曲を残しているのですね。

③ 黄昏(On Golden Pond)メインテーマ
 同名の映画より。作曲デイブ・グルーシン。80年代から多くの映画音楽を作ってきたデイブ・グルーシンの最高傑作といえるでしょう。オープニングの湖一面が夕陽に染まっていく映像の美しさにピアノで奏でるこの名曲が見事に調和しています。映画自体もヘンリーフォンダとキャサリンヘップバーンの演じる老夫婦が素晴らしく、心温まるヒューマンドラマの傑作といえるでしょう。お薦めです。

④ Sean Sean
映画「夕陽のギャング達」より。作曲エンニオ・モリコーネ。セルジオレオーネが新境地を開いた西部劇の傑作。「ウエスタン」「ワンスアポンアタイムインアメリカ」と合わせてワンスアポンアタイム3部作と呼ばれています。すべてモリコーネが音楽を手掛け、すべて素晴らしい出来です。この映画の全編に「ショーンショーンショーン」という独特のメロディが流れ、セルジオレオーネの世界に彩りを添えます。作品、曲ともに余りメジャーな方ではないですが、本当にいい曲です。これも私が映画音楽にはまるきっかけとなった曲です。

⑤ ラーラのテーマ
映画「ドクトル・ジバゴ」より。作曲モーリス・ジャール。みなさんお馴染みの曲。ぜひオリジナルサウンドトラック版で聞いてほしいです。ジバゴ(オマー・シャリフ)とラーラ(ジュリー・クリスティ)の出会いと別離を切々と奏でた名曲です。特にジバゴが雪の平原にラーラの乗った橇を見送る別離のシーンに流れるこのテーマ曲はこれぞ映画音楽の醍醐味といった感じです。ロシアの民族音楽と融合して一本の音楽にしてしまうあたり、モーリス・ジャールは流石です。



つぶやき王子(中野さん)のつぶやき(6/2)

再び「つぶやき王子」より。今回は、楽団にとって関連のある「著作権」のお話です。著作権法で保護される著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」であり、もちろん音楽の表現物も含まれます。音楽を扱う我々も著作権を侵害しないよう注意しなければなりません。著作権の有効期限は、著作者(音楽の場合は作曲者)の死後50年を経過するまでなので、例えば「くるみわり人形」などは有効期限が切れているので問題ないでしょう。次に著作権のひとつである著作者人格権の中に同一性保持権があり、編曲する際には侵害しないよう許諾をとっておくほうが無難かもしれません。また、著作隣接権によって、音楽を利用する我々のような実演家には許諾を得たり対価を支払う義務が生じるので注意が必要です。一般的には、演奏会での上演に先立ち、JASRAC(日本音楽著作権協会)に届け出て、対価を支払うなどの手続きが必要となります。なお、JASRACのホームページには、演奏が収益を生む場合を想定していることが書かれており、クリスマスコンサートのように入場無料の場合は、届け出は不要です。最後に、パンフレット等に文章を載せる際にも、本や雑誌、電子媒体などの文章のパクリも、著作権侵害に触れる恐れがあります。私も今回自分の言葉で書くよう気をつけました。以上



中野さんのつぶやき(5/30)

昨日ひとついい忘れたことが・・・。アメリカのことです。この曲はギターパートにとっては、いばらの道でした。最初はリズムもとれず、演奏の途中で今どこを弾いているのかもわからなくなることもありました。ギターのパート練習でもうまくあわず、本番本当に大丈夫かいなの空気が漂っていました。鈴木さんは、「ヤメリカ」と命名し、まじでやめたそうでしたし、山岸リーダーはメンバーのこのていたらくに悩んで眠れぬ夜を過ごしたのではないかと思います。しかし、救世主は現れました。針生さんという救世主が。そうだ。針生氏のパーカスのリズムに合わせればいいのだと。そうしたところ、周りの音とだんだん合うようになってきた気がします。本番は自分では一応最後まで曲の流れで弾けたのですが、指揮者から見て全体的にどうだったのでしょうか。本当は片倉指揮者が一番不安だったのかもしれませんね。いい経験でした。



中野さんのつぶやき(5/27)

因みに他の大学のMCの歴史を調べてみました。創部は同志社大学・慶応義塾が一番古く1910年、早稲田が1913年、関学が1917年、九州大学が1920年、北海道大学が1921年、明治大学が1923年となっています。技術顧問としては、鈴木静一が中央大学・立命館、服部正が慶応大学、中野ニ郎が同志社、大栗裕が関学・京都女子大。みなさんマンドリンオーケストラのためのオリジナル曲を数多く生み出していますよね。関学在学中は、大栗さんのシンフォニエッタを何回か上演しましたが、どれも独特のリズムと癖のあるメロディラインに苦労しました。

中野さんのつぶやき(5/21)

昨日関西学院大学マンドリンクラブ創立100周年の記念コンサートが伊丹市のコンサートホールにて開催され、現役生・OB含めて約80名の演奏を聴いてきました。上は80才から現役大学生までと年齢層は幅広く、故大栗裕先生のシンフォニエッタ6番「土偶」と「ナイチンゲールとバラ」を懐かしむように弾いているOBの姿にこころ打たれました。指揮は現技術顧問岡本一郎先生(ダンスリールネッサンス団長)と今後岡本先生から顧問を引き継ぐ大森秀則君(ヒィドル奏者)で新旧交代のバトンタッチのコンサートでもありました。アンコールはレスピーギのシチリアーナで岡本先生お気に入りの1曲だとか。演奏後は、岡本先生を囲んでの打ち上げがあり、私が学生のころ先生のギター個人レッスンを受けていたお話しをすると、よく覚えて下さっていて、昔話に花が咲きました。年をとっても青春時代に戻れるのが、音楽の素晴らしさだと改めて感じました。



中野さんのミュージカル紹介

第3部】ミュージカルの世界

1 「マイフェアレディ」“運が良けりゃ~時間通りに教会に” フレデリック・ロウ作曲
  オードリーヘプバーン主演のミュージカル映画「マイフェアレディ」より、劇中の2
  曲をメドレーでお贈りします。いずれも、ヒロインのイライザの父親アルフレッドに
  よる挿入歌です。

2 「南太平洋」“魅惑の宵” リチャード・ロジャース作曲
  ロジャース&ハマーステイン二世のヒットミュージカル「南太平洋」で最大のヒット曲です。映画公開に先行して発売されたサウンドトラックが人気となり、またパーシーフェイス・オーケストラなどの演奏でも知られています。

3 「キャッツ」“メモリー”  アンドルー・ロイドウェバー作曲
  日本では劇団四季のロングラン公演でも知られるミュージカル「キャッツ」の代表的ナンバーで、世界的にヒットし、数多くの歌手によりカバーされています。

4 「メリーポピンズ」“チムチムチェリー” シャーマン兄弟作曲
  ウォルトディズニーカンパニー製作のミュージカル「メリーポピンズ」からの言わずと知れたナンバーです。“煙突掃除はいい仕事だ”という内容の歌です。

5 「王様と私」“シャル・ウィ・ダンス” リチャード・ロジャース作曲
  ユルブリンナー・デボラカー主演の映画でも知られる「王様と私」から、主人公のアンナと王様によるポルカのダンスシーンで歌われる有名なナンバーです。

6 「回転木馬」“ユーネヴァーウォークアローン” リチャード・ロジャース作曲
  ロジャース&ハマーステイン二世のブロードウェイミュージカル「回転木馬」の挿入歌です。この「人生ひとりではない」は、広く世界中のサッカーファンの愛唱歌としても親しまれています。

7 「ウエストサイド物語」“アメリカ” レナード・バーンスタイン作曲
  最後に、「ロミオとジュリエット」の現代版ともいえるミュージカル映画の名作「ウエストサイド物語」から、“アメリカ”をお届けします。チンピラ軍団の「シャーク団」の溜まり場で、女性側のアメリカ生活の賛美に対し、男性側がそれをからかう掛け合いの内容になっています。      

中野さんのつぶやき(4/17)

本日NHKホールにN饗の定期演奏会を聴きに行きました。指揮はファビオルイージ、プログラムはメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲とグスタフマーラーの交響曲第1番「巨人」です。コンチェルトはソリストのズナイダーが素晴らしく、マーラーの交響曲はN饗は屋台骨の金管がうまいので、メリハリの効いたいい演奏でした。巨人はマーラーが28歳のときに仕上げた作品で、後の死や悲劇がテーマになっている交響曲(5番・6番あたり)と比べると全編若さと瑞々しい希望に満ち溢れた作品となっています。マーラーはその10年後(1898年)にウィーンフィルの指揮者に就任しますが、わずか3年足らずで解任されます。楽団との折り合いが悪かったとも言われています。マーラーは全部で11の交響曲(うち1は未完成)を作曲しますが、ウィーンフィルでは演奏される機会があまりなく、やがてニューヨークフィルのレナードバーンスタインらによって楽曲がひろまっていきます。確か数年前に生誕150周年でちょっとしたブームとなったのをなんとなく覚えています。ルイージの指揮はスローテンポのところとハイテンポのところをすごく極端に切り分けるので、バーンスタインなんかとは違って面白く感じました。以上、報告と雑感でした。


中野さんのつぶやき(3/19)

久しぶりの投稿です。本日映画館に「ララランド」を観に行きました。アカデミー賞授賞式では、大きなハプニングがあり、残念ながら作品賞は逃したものの、久しぶりに素晴らしいミュージカルに出会った感じです。昔ながらのミュージカルがベースにありながらも、現代風のロックやジャズも融合された壮大な作品となっています。R&Bの雄ジョンレジェンドの歌も素晴らしいですし、ライアンゴズリングのピアノや主役の2人のタップダンスの掛け合いも見事です。お薦めの一本です。未だ観ていない方は、是非劇場へどうぞ。



片倉指揮者のつぶやき(2/17)

中野さんは本当に良い映画を観ていますね。
私もヴィスコンティは大好きで、彼の作品は結構観ています。
特に晩年の三部作、「地獄に墜ちた勇者ども」、「ベニスに死す」、「ルート
ヴィッヒ」は傑作ですね。

「ベニスに死す」のモデルとなっているマーラーは大作曲家であると同時に大指
揮者でもあったわけですが、
東洋の文化にかなり傾倒したところがあって、彼の交響曲には銅鑼、鐘、マンド
リン、ギターなどが良く使われています。
学生時代、先輩の紹介で読売日響の定演で「大地の歌」のマンドリンソロを弾い
たことを思い出しました。

さて、年末・年始から最近に至るまで、NHKBSで名画が放映されていて観るのが
楽しみですが、
先日、録っておいたものの中から「バンドワゴン」というミュージカルを観ました。
フレッド・アステアと相手役のシド・チヤリシーの踊りが特に素晴らしいですが、
この映画がのプロデューサーがライザ・ミネリの父親である、ヴィンセント・ミ
ネリでした。


中野さんのつぶやき(2/17)

最近「キャバレー」と「ベニスに死す」を観ました。「キャバレー」は、ジュディーガーランドの娘で女優のライザミネリが主演のミュージカル映画ですが、ボブファッシーの最高傑作といわれています。ライザミネリはこの映画で熱演してオスカーを手にしています。ナチ統治のベルリンを舞台に、ショービジネスの世界における明と暗の人間模様の描写が実に見事です。「ベニスに死す」は、イタリアの巨匠ルキノビスコンティの代表作のひとつでマーラーをモデルにしたといわれる作品です。美少年に心を奪われた老人の精神的な恍惚と苦悩、歓喜と絶望が見るものを圧倒します。マーラーの交響曲第5番のアダージェットが全編に流れていたことでも話題になりました。この映画のおかげで、自分の葬式には交響曲第5番を流して欲しいと希望する人が少なからずいるそうです。

中野さんのつぶやき(1/27)

個人的な意見なので、今回の選曲はお任せします。曲の好みは人それぞれで難しいところですしね。ただ、毎回昔の曲ばかりだと、演奏を聴きにきた若い世代の心(加入しようとする人も含め)を掴むのは難しいのではと思います。世代によって曲の好みも分かれるので、いろんな年代の曲をいかにバランスよく配置するのかが肝要なのだと感じています。

片倉指揮者のつぶやき(1/27)

中野さんの仰るように3部の演目は少々古めかしいですね。
但し、時間が余りないので今回は予定通り進めたいと思っています。(一部は見直します)
今後は演目を決める時には(特に映画音楽)中野さんにもメンバーに入って貰ったらどうでしょうか?
私が3部のラインナップを決める時は、1.オープニング、2.みんなで歌いましょう、3.フィナーレ、
4.アンコールに特に気を配ります。
12回定演3部:アメリカ幻想ではドヴォルザークの<新世界>に弦楽四重奏曲<アメリカ>を組み合わせ、それをフォスターの<懐かしきケンタッキーの我が家>に繋げてオープニングとしました。
13回イタリア幻想ではイタリア国歌を歌劇「ナブッコ」より第二国歌とも言われる<行け黄金の翼に乗って>に。
14回ロシア幻想ではショスタコヴィッチとチャイコフスキーの交響曲をロシア民謡<ポーリシュカポーレ>に繋げました。
また、中野さんが復帰前の16回定演の3部:「シネマは世界をめぐる」ではオープニングに「80日間世界一周」から<アラウンド ワールド>を、アンコールには吉田さんの歌で<オペラ座の怪人>を演奏しました。
2~3年前ですが、野田に於いて針生さんの主宰するNPO法人の演奏会で<レ・ミゼラブル>を演奏会形式で、同じころ、布佐平和台を中心に活動する、女声合唱団「ラ・メール」の演奏会で伊藤幹翁先生の編曲・指揮で「オペラ座の怪人」が演奏されまして、何れも非常に興味をそそられました。この時は講釈(講談)師が舞台回しを担当して、とても面白かったと記憶しています。この2演目はいずれも私の胸の中に温めておりますので、そのうち3部を飾ることになるでしょう。
但し、ある程度の準備期間と費用が必要になると思います。

 

中野さんのつぶやき(1/23)

定演の3部の曲(ミュージカル)ですが、もう少し検討されてみてはいかがでしょう。メリーポピンズは「チムチムチェリー」のみでいいような気がしますし、ウエストサイドは「アメリカ」より「トゥナイト」のほうが大衆うけするのでは。マイフェアレディは「踊り明かそう」はいいにしても、「運がよけりゃ」はあまり知られていないのでは。竹内まりあがカバーしている「君住む街で」や「LOVERY]の方が有名です。ライザミネリのシリーズでは、「キャバレー」は歌手がメインで、「ニューヨーク・ニューヨーク」のほうが、マンドリンの音色が生えるような気がします。また、ラインナップがすべて古いので、たとえば、オペラ座の怪人やレミゼラブル、エビータなど平成のミュージカルを入れてみるのもいいと思います。楽譜がなければ仕方ありませんが。

中野さんのつぶやき(1/1)

あけましておめでとうございます。今年もマイペースで演奏を楽しんでいきたいと思います。よろしくおねがいします。昨年から入院中の母親が明日退院ということで、正月そうそうバタバタしております。なので、どこに出かけるわけでもなく夜にひたすら見たかった映画を見ています。①NINE(フェリーニの81/2をミュージカル版)②戦場のアリア(第一次世界大戦中の実話に基づく物語)③スポットライト 世紀のスクープ(昨年のアカデミー賞受賞作)④マイインターン(ロバートデニーロ、アンハサウェイ主演)⑤キャロル(ケイトブランシェット・ルーニーマーラ主演)などです。セルジオレオーネの「夕陽のガンマン」「夕陽のギャング達」も見ました。①~⑤はお薦めです

 

阿部さんのつぶやき

これは良い話を聞きました。
本格的なオペラを見る機会はなかなかないですね。
映画館は、この辺では「MOVIX柏の葉」になるようです。

中野さんのつぶやき

みなさん METライブビューイングをご存じですか? 松竹系の映画館でニューヨークのメトロポリタン歌劇場のオペラが通しで見られるというものです。字幕が付くのでストーリーも把握できますし、幕間での歌手へのインタビューなどもあり、作品の特徴もわかります。今年はララポート柏の葉のMOVIXに、「トリスタンとイゾルデ」「ドン・ジョバンニ」「ノルマ」などを鑑賞しに行きました。来年は、グノーの「ロメオとジュリエット」チャイコフスキー「エフゲニーオネーギン」ヴェルディ「椿姫」などのラインナップが控えています。私の所属するフコク生命も協賛しています。興味のある方は、一度どうぞ!(長くて途中よく寝ていますが)

片倉指揮者のつぶやき(ぼやき)

小生の趣味と言えば、①読書 ②映画鑑賞 ③スポーツ観戦 ですが、
①、②は良いとして、③に関しましては悔しいシーズンでした。
我が母校は、
A.10月の「全国大学駅伝」で最終区、青山学院に逆転負け。
B.学生野球では明治に勝数で及ばず、優勝を逃す。
C.大学ラグビー準々決勝で同志社に惨敗。
D.翌日の甲子園ボウルで関学に負けて優勝できず。
優勝した各大学のOBの皆さま誠におめでとうございます。

それにしても大学ラグビーの関西勢は強かった。
関東の早慶明の伝統校はそれぞれ同志社、天理、京産大に歯が立たず枕を並べて討ち死に、嗚呼…。
人気に溺れていては今後も厳しいですね。

中野さんのつぶやき


音楽の高尚な話題はという方もいらっしゃるので、別の話を。
鈴木代表の挨拶はいつも面白くて関心させられます。過去に生保で営業関連の仕事をしておられたのでは?私の会社でも営業所長や支社長の経験者は話がみなさんうまいです。今度の定演でも挨拶するのでしょうか?そういえば、昔定演などで司会をされていた方(野宮さん?)も笑いをとるのがうまかったのを思い出します。

片倉指揮者のつぶやき

アンタッチアブルってケビン・コスナー主演のものですよね。
あの映画の中で「道化師」が演奏されましたか。
私は良く覚えていませんが、ただラスト近く、
セントラル駅の階段を赤ちゃんを乗せた乳母車が転げ落ちて来る、
あわや!というところでアンディ・ガルシア扮する若手刑事が食い止める、
同時に銃口の照準を敵に合わせる…、
あの名場面は忘れられません。

中野さんのつぶやき

レオンカヴァルロの道化師

因みに片倉指揮者のコメントにある歌劇「道化師」ですが、ブライアンデパルマの映画「アンタッチャブル」でロバートデニーロ演じるアルカポネが涙ぐみながら鑑賞するシーンで出てきます。こちらも音楽はエンニオモリコーネです。オペラがシーンの中でつかわれている映画は結構多いです。

片倉指揮者のつぶやき

歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」      P.マスカーニ作曲


先般楽譜を整理していましたら、今から41年前、東京文化会館で上演された、二期会による「カヴァレリア」のプログラム、チラシが出て来ました(別添参照)。
このオペラは1幕もので短いため、チラシにあるようにレオンカヴァルロのオペラ「パリアッチ(道化師)=2幕もの」と一緒に上演されるのが通例となっています。

中野さんの仰るように、ともにヴェリズモ派オペラの傑作として今日においてもしばしば上演されていますが、特に「カヴァレリア」の間奏曲はその結末とは対照的な静けさを湛えた美しい曲で、オペラを離れてテレビのコマーシャルにも良く登場するのでお馴染となっています。
また、近年、イタリア語の歌詞が付けられ、「マスカーニの“アヴェ・マリア”」としても演奏されます。

因みに前段の「道化師」の間奏曲もドラマチックな名曲で、ヴィヴァでは数年前の「湖北台クリスマスコンサート」で演奏したことがあります(中川信良編曲)。

さて、この時のプログラムにイタリア文学者の千種堅氏が「マフィアとシチリア気質」という大層興味深い一文を寄せていますので少しご紹介したいと思います。

オペラの内容は、兵役に行っている間に恋人が他の男に嫁してしまったが、中々諦めることが出来ず、逢瀬を重ねるうちに亭主の知るところとなり、最後は決闘をして殺されてしまう…というそれほど複雑な話ではありません。

千種氏によると、昔からシチリアには艶笑譚の数は多く、開放的な南国の風土がそうさせるのか、「女ならでは面子がたたぬ」…要するに好きな女がいないようではシチリア男としては失格である、という考え方が強いようです。
そこで、色恋沙汰にもメンツが登場してくるのは如何なる理由からかを考えますと、この島は日本で言えば四国と九州の間くらいの広さですが、地中海の要衝に位置することで、古来、ギリシャ、サラセン、フランス、スペイン等他国の支配を受けてきたことから、権力に対する反抗心が極めて強いのです。
支配者の悪政から身を守るのは自身と身内しかいない。これは血族というより血盟であると言った方が良いかもせれません。

面子はイタリア語ではオノーレ(onore=名誉)で、マフィアは別名「オノラータ・ソチエタ=名誉ある結社」と、如何にも名誉・面子を大切にするシチリアならではの命名だと思います。



中野さんのつぶやき

カヴァレリア・ルスティカーナについて

先日映画「ゴッド・ファーザー パート3」を見直しました。映画の中で、家業を継がず歌手を目指しているマイケルの息子がオペラの初舞台を踏むことになりますが、そこで上演されるのが、「カヴァレリア・ルスティカーナ」です。劇が進むと同時に、対立するマフィアの手先がマイケルを暗殺しようとしますが、最後にコルレオーネ家に悲劇が起こります。何が起こるかは見てのお楽しみですが、ラストで流れる間奏曲が余りにも美しく、この曲は一気に世界中で有名になりました。カヴァレリア・ルスティカーナとは、「田舎の騎士道」の意味で、イタリアにおけるヴェリズモオペラ(リアリズム文芸運動)典型的作品ですが、同時に映画音楽でもあります。興味のある方は、ゴッドファーザーパート3を是非ご覧ください。

ガブリエルのオーボエについて

「ニューシネマパラダイス」「夕陽のギャング達」「アンタチャブル」などで知られる作曲家エンニオモリコーネが映画「ミッション」のために書き下ろした曲。映画の冒頭でジェレミー・アイアンズが演じるガブリエル神父がイグアスの上流に住むインディオの村に入り込み、布教のため信頼を得ようとします。神父がオーボエを吹くシーンは、人種を超えた平和と愛の象徴のように観るものを引き付けます。後半では、自国の利害により侵略をしようと戦争としかけるスペイン・ポルトガルと、自らの信念に生きる男たちとの葛藤がスケール感いっぱいに描かれていきます。モリコーネの作りあげる旋律は映像と一体となってこのドラマを盛り上げています。一見の価値のある名作だと思います。モリコーネの作品では、他に「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のデボラのテーマと「夕陽のギャング達」のSEAN・SEANが素晴らしいです。